都市防災の観点からマンションの災害対応を考える

趣旨説明


萩原 孝次(マンション管理士)





 マンションは全国で総戸数590万戸、居住人口1,450万人、仙台市を中心に宮城県でも分譲マンション1,500棟、ストック戸数78,000戸を数え、戸建て住宅と並ぶ主要な居住形態となっています。その立地は都市中心部の商業地、住宅地、郊外住宅地、規模も数百戸から数十戸と様々であり、抱える課題は多様で、マンションであるが故の問題の解決のめどが立たないものも多くあります。
 本シンポジウムでは東日本大震災で大きくクローズアップされたマンションの災害対策を軸に、様々な立地におけるマンションと戸建て住宅を含む近隣地域と共同した防災への取組みに焦点をあて、安心して生活できる今後のまちづくりへの展望を示したいと考えています。
 そのために、都市防災に密接に関わる、マンションから、地域から、行政からのそれぞれの立場と視点から、東日本大震災の経験、教訓、課題をご報告いただき、それらのすり合わせによって今後の都市防災の有意義な展望を考えていきます。




1 東日本大震災の被災状況の概略を共有する


2 マンションから考える
・管理組合だけでなく居住者の視点からのコミュニティと防災対策
・マンション住民がマンション近隣地域に期待するものと近隣地域と共同してできること
・防災を通した地域との関わり方について-マンションの規模、立地による特徴と課題を考える


3 マンションを含む地域およびマンション近隣住民から考える
・近隣住民からマンションはどのように見えるか
・近隣住民がマンションに期待するもの-地域コミュニティと防災、災害時の役割
・地域共同体をどのように作るか、作ってきたか マンションと地域の協働とは


4 行政の立場から考える
・居住形態としての戸建て住宅とマンションに対する行政の住宅政策、防災対策について
・東日本大震災からの教訓とマンションにおける防災活動の充実、建物性能の向上のための
 「杜の都防災力向上マンション認定制度」のねらいについて
・防災におけるマンションおよび地域コミュニティ形成はどこでも可能か、所有者ではなく居住者の視点の必要性について




 以上のそれぞれの立場と視点からの各ご報告を、ご報告者と会場とでさらに掘り下げ、深めていきたいと考えています。また、この課題は、翌19日のマンション学会仙台大会メインシンポジウム『マンションは住環境をどう変えたか』に切り口を変えて引き継がれて、さらに検討されます。

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